マイニングしてるとグラボの熱がヤバいな
そのまま使い続けると1年以内にグラボ壊れちゃうよ
GPUの発熱対策はメーカーによって様々
グラボは熱との戦いだ
マイニングをしているとグラボの温度管理の重要性に気付きます。なるべく低い温度でグラフィックボードを維持しないと、故障の危険性が高まるからです。
高負荷をかけ続けるマイニングを行うと、グラボの発熱による性能リミッターが働いてしまい、満足に収益を上げることが難しくなります。RTX3090やRTX3080といった高性能・大消費電力のグラフィックボードでは、メモリージャンクション温度の上限値が110℃に指定されており、この上限値に達するとリミッタが働いて、温度が下がるまでグラフィックボードの性能を制限してしまうのです。
また、あゲームなどで高負荷をかけて使用していると、「高FPSのシーンで妙にカクカクするなぁ」ということがあると思います。単純にGPUの性能不足もあり得るんですが、GPUが発熱して本来の性能を発揮できない可能性がありますよ。
とにかく冷えないギガバイトRTX3080
筆者が使用しているのはギガバイトのRTX3080。昨今のグラボ価格急上昇にも関わらず、地元のパソコンショップの奥深くに眠っていたRTX3080を偶然発見。相場22万にも関わらず15万円でゲットできた、という幸運な商品でした。やったねっ❤
が、実際にこのグラボでマイニングを初めて見ると、どうも思ったように能力を発揮できないようです。
当初、なんの熱対策もせずに密閉PCケース内に設置してマイニングしていたところ、ハッシュレートが80MH/sほどしか出ませんでした。
本来ならば、95MH/sくらいは出てもいいはずです。というか、起動したてでグラボが冷えている状態のときは、普通に95MH/s出ていました。
その後、扇風機を当てたりパソコンのケースを開けたりと冷却対策をしてみました。6MH/sくらい改善しています。
マイニング画面を見ると、rtx3080のハッシュレードが86MH/s程になっていますよね。
でもこれも本調子ではないんですね・・・。もっと冷やさないと。
msi Afterburnerの設定はこんな感じ。
メモリジャンクション温度のリミッター制限にかかっている
しかし、RTX3080の温度は47℃と、結構冷えているんですよね・・・むしろ同じケース内にあるRX5700XTのほうが54℃と温度が高いくらい。これでリミッターにかかっているってのもおかしくないですか?おかしいですよねぇ・・・
ここでHWiNFO64を使用して、各グラボの温度を確認してみましょう。当ツールは無料でダウンロードできるものですので、活用して下さい。
OpenHardwareMonitorといったツールもありますが、メモリージャンクション温度を確認することが重要なので、私は現在こちらを使用しています。
RX5700XTの温度
同じケース内にあるRX5700XTの温度。GPU temperatureが56℃に対し、GPU Memory Junction Temperatureが72℃と20℃程高くなっていますね。しかしどちらも許容範囲内の温度です。
RTX3080の温度
次に問題とナッているギガバイトのRTX3080の温度を確認します。GPU Temperatueでは46℃に対し、GPU Memory Junction Temperatureが110℃(!!!)まで上昇しています。
色々とネットを調べて分かったのですが、このメモリジャンクション温度が110℃に到達するとGPUの回路保護のために機能制限がかかり、GPUが本来の能力を発揮できなくなるとのことです。
このまま使用し続けるとGPUの寿命を著しく削ってしまいますので、なんらかの対策をうたないといけません。
サーマルパッドの交換
色々と調べたところ、どうもギガバイトのRTX3080のサーマルパッドは熱伝導率が低く冷えづらいらしいです。このサーマルパッドをリンクのものに貼り替えるとメチャクチャ冷却性能が向上するとか。
グラボは殆どの場合が2.0mmのサーマルパッドを使用しているというので、評判のよいThermalright ODYSSEY サーマルパッド THERMAL PAD 2mmのものを購入しようと思いました。
しかし昨今のマイニングブームのせいでサーマルパッド2mmタイプの在庫がどこも不足。どうしようと途方にくれていたところ、某掲示板で「1mmのものを重ねてもいいのよ」とアドバイスをいただきましたので、今回トライしてみます。
サーマルパッドは1.0mmのタイプを3つ使いました。3つでギリギリ・・・結構やばかったです。
グラボの裏側のネジを精密ドライバーで外していきます。ネジは細かい上にスプリングがついているタイプのものもあります(GPUコア周辺の4つ)
うっかりするとすっ飛んでいってどこにいったかわからなくなるので、画像のように養生テープを裏返しにして、そこに一つ一つ貼り付けて飛んでいかないようにするのが良いでしょう。
カバーを外した状態。白色のシリコン樹脂が今回交換する部分。
明らかに熱伝導率悪そうなシリコンですね。
某掲示板で「ギガバイトのGPUに使用されているサーマルパッドは熱伝導材ではなく断熱材だ」という書き込みがあって笑いましたが、確かにこれはただのシリコンパッドですね(笑
もうなんか豆腐に見えてきました。経費削減のために豆腐貼ってるんですよこれ。
こりゃひえんわ。
今回使用するサーマルライト THERMALRIGHT サーマルパッド THERMAL PAD 1MM。
本当は2mmタイプが良かったんですがどこを探しても在庫がないので、1mmを重ねて使用します。
パッドには保護用の透明シートが貼ってあるので、この透明シートにパッドのサイズに合わせて油性ペン(小)で切断サイズをマーキング。
2枚を重ね合わせた後、カッターナイフでケガキ線通りにカットしていきます。
古い断熱材シリコンは剥がしていきます。剥がした後は、キムワイプとアルコールでちゃんと清掃しましょう。
筆者は気にせずそのまま貼っちゃいましたが、あかんですよ本来(笑)
こんな感じで貼り替えていきます。表面の透明シートの剥がし忘れがないように気をつけて下さい。
よく見ると、銅板上にシリコンパッドのサイズが刻印してありますね。このサイズ通りにすれば良いと思います。
貼り替え終わりましたので、GPUコアの部分のグリスを丁寧に拭き取ります。もちろんGPUコア側も丁寧に拭き取りましょう。
その後はGPUグリスをGPUコアに塗布し、復旧すれば完了です。結構簡単でしたね。
ネジはちゃんと締めましょうね。締めることでGPU・メモリとシンク部分とが密着するので、中途半端に締めるのはNGです。
ネジが無くなった?草の根を分けてでも探し出せ!
サーマルパッド交換後
さて、サーマルパッドを交換した後、afterburnerなどの条件が全く同じ状態で、温度がどのように変化したかを確認したいと思います。
↓
まずはマイニングのレートです。
同条件ですがハッシュレートにはほぼ違いはありませんね。温度の方は上がってしまっているようです。が、これにはからくりがあります。
↓
HWiNFO64にて温度を確認したところ
GPU Temperature(℃):46.4→51.8
GPU Memory Junction temperature(℃)110→82
という結果になりました。メモリジャンクション温度が30℃ほど低下するという驚きの成果ですね。逆にGPUコア温度が上昇したのは、メモリーの熱がシンクにうまく伝わるようになったため、GPUコアの温度が上がるようになったためでしょう。
冷却性能が格段に向上したおかげでGPUがいつもより仕事できるようになり、GPU温度が5℃ほど上昇しているにも関わらず、メモリジャンクション温度が下がっている。いかに元々ついていたサーマルパッドの熱伝導率が悪かったかが一目瞭然ですね。
元々、私はAfterburnerの設定でメモリジャンクション温度が110℃に張り付くギリギリのところで設定しました。メモリジャンクション温度が高すぎて設定を上げることができなかったんです。
が、今回のサーマルパッド貼り替えの結果、メモリジャンクション温度が30℃近く低下したことで、Afterburnerの設定をRTX3080マイニング推奨値まで上昇させることができます。
↓
Memory Clock: +0→+900
Power Limit(%):62→100
と設定を引き上げました。パワーリミットは100%である必要はなく、都度変更してよいと思います。
結果
結果として、ハッシュレートがほぼMAXの95MH/s
GPU温度が60℃
GPUメモリジャンクション温度が88℃
と、安全圏に入ることになりましたね!
やったね!
おわりに
マイニングではGPUを酷使するため、ちゃんとした熱対策をせずにマイニングを続けるとGPUが一年も持たずに故障してしまうという報告を受けています。
今回筆者が掴まされた(笑)ギガバイトのRTX3080はその最たるもので、もしもサーマルパッド交換をせずに使い続けていたら、110℃のメモリージャンクション温度に耐えられずに近い将来故障してことと思います。15万ががが・・・・
今回の施工によって メモリージャンクション温度がメーカーの危険範囲とされる95℃を6℃ほど下回る結果になり、大いに満足できる結果となりました。
ただ、なにせ初めての作業でしたのでキムワイプやアルコールなど必要なものを用意するのを忘れ、半ば野戦戦場での手術のように不衛生な状態での割腹手術(?)となってしまったことが、個人的にミスったなと思っています。
GPUという非常に精密・高額な機械の分解改造となりますので、十分な準備をされてから行われることを推奨します。また、改造になりますからメーカー保証も消えてしまう事は頭に入れておいて下さい。
以下に、今回私が使用したサーマルパッドと、その他これは必要だったなぁというものを掲載しておきます。
サーマルパッドの在庫が各社ほとんどない状態ですね・・・。マイニング特需でどこもサーマルパッドの奪い合いみたいになってます(笑)
筆者は今後グラボを買い足していくんで2mmのサーマルパッドの予備を何枚か注文済みですが、いつ届くことやら・・・。
下のは某掲示板で「これでもいけるよっ」と書き込みがあった奴ですね。口コミでもGPUで使ってる人がほとんどなのでいけるのでしょう。上のヤツの在庫がなければどうぞ。
(追記)バックプレート~基盤間にサーマルパッドを追加
さて、筆者はギガバイトのRTX3080サーマルパッド交換にトライしたが、基盤の裏側まではサーマルパッドを貼っていなかった。
上の記事に書いたようにサーマルパッドの交換は冷却に大きな効果を発揮するが、裏側に2.5mmのサーマルパッドを貼り付けると更にその効果が増すという記事をみかけたので今回トライする。
使用するサーマルパッドはこれ。RTX3080のバックパネルとメモリ裏基盤の間の厚みは2mm~3mm。掲示板で聞いたところ色々と意見はあったが、2mmでも3mmでも良いらしい。が適正なサイズは2.5mmという話なので、今回はこれを採用させて頂いた。
貼り付け前
正直、メモリー側のサーマルパッド張替えだけで十分すぎる冷却効果がある。
ただし、日中のエアコンが効かない環境下であったり、 イーサリアムの売買が盛んに行われるようなタイミングになるとRTX3080に負担がかかりメモリージャンクション温度が100度以上いくようなシーンも有る。
筆者としては「エアコン部屋から3080を追い出したい」というのが理想。というのも筆者のエアコンは12畳用でフル運転すると10A(1000w)もの電気をバカ食いするのだ。こんなもんつけたくない・・・電気代がかかってしゃーない。
サーマルパッド貼り付け
早速貼り付けを実施する。
呼ッ!(バキッ!)
貼り付け後
さて、単純に2.5mmのサーマルパッドを基盤裏面に貼り付けただけの状況でマイニングがどうなるか確認しよう。
バックプレートの追加冷却などは施していない。
やはり、というかバックプレート側の冷却措置を講じないと、グラボの冷却には寄与しないことがわかった。
ファンの追加
当然ながらサーマルパッドを貼り付けただけでは外部からの冷却がないと冷えない。なので12cmファンをとりあえず上に2つ載せてみる。
・・・変わんないっすねw
ヒートシンクの追加
2つの120mmファンを載せた程度では冷却には効果がないようだ。というか、ファンとバックプレートの間の隙間がなさすぎて、おそらく風が通っていないのが原因だと思われる。
なのでRTX3090で行った同様の対策として、バックプレートにヒートシンクを追加してみる。
検証前
ヒートシンクの有無でどれほど冷却性能に違いがでるかを判別するため、まずはヒートシンクなしで扇風機でグラボに風を当てて温度がどのように変化するかを確認する。
しかし安定せず90~96度をウロウロ。
検証後
□5cmと□4cmのものを使用する
先程同様に、扇風機で風を当てながらマイニングを開始し、10分経過後の温度を観察してみよう。
結果
さて、結果だがご覧の通り、だ。
効果があるのかないのか正直微妙・・・というか全く変わってないような気がします。
5度以上下がるような効果を期待していただけに「あれ?まったく効果なくね?」とその効果を疑問視せざるを得ない状況。
もちろん温度は28度程で前後とも変わりません。そういう状況を作って行いました。
しかもこれ、横から扇風機で風を当て続けています。
ん~・・・正直効果は微妙っすね(´・ω・`)
バックプレートと基盤裏側の間に2.5mmのサーマルパッドを貼って試したけど、効果は・・・残念な感じでしたね。
正直基盤のメモリー側の2.0mmのみで良さそうね
ただバックプレートはかなり熱を持つようになったから、バックプレートへの熱の伝導は確かに行われているわ
劇的な効果が見込めない以上、コスパの悪い基盤裏側~バックプレートへのサーマルパッド追加はオススメしないわ。
2.5mmのサーマルパッドは4000円もするし、自己満足ならいいけどお金は大切にしてね。
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